再読 − フィリップ・K・ディック『死の迷路』

ディックのSF小説にハマったのは、大学生の頃だ。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』から始まり、市民図書館に置いてあった文庫本を片端から読んでいった。 高校生のときに愛読していたのは、レイ・ブラッドベリだった。あの暖かい幻想と狂気の世界に魅せ…

本を持ち帰る

2年前に手術した右膝の経過観察と筋力測定を行うため、病院に行く必要があったので、実家に帰ってきた。今回もクルマにて、片道400kmのロングツーリング。 せっかくクルマで帰ったので、かねてからの懸案だった本の引き上げをすることにした。実家を倉庫代わ…

『忘れられた巨人』(カズオ・イシグロ)

カズオ・イシグロは、好きな作家だ。 でも好きだからこそ、読めないという現象が起きる。読み始めた後、読み終わるのが寂しいから、ちびちび読むというのは誰でもあると思うが、それを通り越して、そもそも読み始めるのがもったいないというアホな境地。この…

春の山

この地にも、ようやく春がやってきた。 川を泳いでいたマガモの群れが去り、ツバメがやってきた。桜が咲き、すぐに散り始めた。いつも仰ぎ見ている浅間連峰の山々も、だいぶ雪が減ってきた。よく見える烏帽子岳の山頂付近は、ほとんど雪がなくなった。そろそ…

『犬と、走る』

この本の存在を知ったのは、2年前の朝日新聞の書評欄だった。 学生のときに体験した犬ぞりを忘れられず、25歳で安定した仕事を辞め、何のつてもなくカナダに移住し、極貧生活を経て、15年かけて夢を叶えた女性の自伝的ノンフィクション。書評では、著者の破…

『羆嵐』

ヒグマの恐ろしさを克明に描いた傑作として知られる、この長編ドキュメンタリー。以前本屋で見かけたときに買っていたのだが、積んだままになっていた。ネットでは「ものすごく怖い」と評判だったこともあり、なかなか気軽に読み出せなかった。 先日、NHK BS…

『ダーク・スター・サファリ』

ポール・セロー。いつも、ポール・オースターと混同してしまう。二人ともアメリカ人の作家で、ほぼ同年代で、孤独と自由に関する小説を書いている。オースターの作品は柴田元幸が翻訳し、セローの作品は村上春樹が翻訳している。なんとなく「傾向」が似てい…

『皆勤の徒』

しばらく前に読み終わった本のメモ。第34回日本SF大賞受賞作。 ひさびさに、夢に出てくるくらい強烈な読書体験だった。本を開くと、見慣れない漢字を組み合わせた異様な造語でページが埋め尽くされている。ページの表面に、うっすらと異世界の空気が漂ってい…

『最後の物たちの国で』

先日、ホテルで読もうと松本の丸善で買った本。ポール・オースター著、柴田元幸訳。 家でポール・オースターの分厚い単行本が積んだままになっているので、またポール・オースターが増えてしまうなと思っていたが、帰って確かめたら「ポール・セロー」の本だ…

『バスカヴィル家の犬』

数か月前にNHK-BSでジェレミー・ブレッドの『バスカヴィル家の犬』を見たばかりだったので、ストーリーは頭に残っていた。 子供の頃にジュブナイル版のシャーロック・ホームズ全集で読んで以来、幾度読んだろう。新訳はヴィクトリア朝の古めかしい雰囲気を残…

『アルピニズムと死』『凍』

しばらく前に読んだ本について。 『アルピニズムと死』は、著名なクライマーである山野井泰史が自らの冒険的人生を振り返った自伝。そして『凍』は、山野井泰史・妙子夫妻の壮絶なヒマラヤ登山を沢木耕太郎が描いたノンフィクション。 『凍』で描かれている…

『所有せざる人々』

2か月くらい前から読み始めて、今日ようやく読み終わった。アーシュラ・K・ル・グィン著、『所有せざる人々』。 最初に読んだのは、高校生のときだったか、大学生だったか。図書館でハードカバーを借りて読み、すごく面白かった記憶が残っていた。ル・グィン…

『一九八四年』

今週末は山登りをする予定だったのが、膝の調子が悪く、延期することに。一度調子が悪くなると、なかなか治らないから困ったものだ。 天気が良かったのでバイクで街に出て、屋久島でなくしたトレッキングポールを買い直した。なくてもよいかなと考えていたの…

『全日本貧乏物語』

赤瀬川源平、逝去…の報道をきっかけに、昔買った単行本を引っ張りだして、つらつらと読んでいた。 全日本貧乏物語 (福武文庫) 作者: 赤瀬川原平,日本ペンクラブ 出版社/メーカー: 福武書店 発売日: 1991/03 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る…

猟師という生き方

iPadでAmazonのアプリを開いたら、この本がレコメンドされてたので、素直にポチッと購入してしまった。 猟師の肉は腐らない 作者: 小泉武夫 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/07/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 食文化論の権威…

ハイキングと登山

ここ数年、右膝のケガに悩まされてきた。日常生活に支障はなくても、長時間の歩行ができなかった。去年の後半あたりから、ようやく長く歩けるようになり、ちょくちょく山に登るようになった。 子供の頃からハイキングにはよく連れて行かれたので、自然の中を…

『火星のタイム・スリップ』

PKDことフィリップ・K・ディックは、私がかつて好きであり、今も好きであり、今後も好きであろう作家なわけだが、この小説は読んだことがなかった。なんか、タイトルがダサかったから… が、読んでみたら全然ダサくなかった。PKDにしてはシンプルな物語だが、…

『空白の5マイル』角幡唯介

冒険家・角幡唯介氏のことを知ったのは、NHKのドキュメンタリー番組だった。ロシアの国道を自転車で走ってモスクワを目指し、途中で現地の人と交流したりするという、ひどく地味な番組だった。地味だったが、その地味さに逆に興味を惹かれて、最後まで視聴し…

バイク漫画(2)

バイクに「リターン」してから、またぽつぽつとバイク雑誌を読むようになった。バイク雑誌界も20年前とはずいぶん変わっただろうな……と思っていたが、ほとんど変わっていなかった。読者の年齢層が20歳上がっただけだ。 業界としては憂慮すべき状況だろうけど…

バイク漫画(1)

寒すぎるわ雪降るわで、なかなかバイクに乗れない。バイク欲を満たすべく、バイク漫画を読んでみることにした。 バイクも漫画も好きだけど、考えてみたらバイク漫画はほとんど読んだことがない。兄が愛読していた「750ライダー」も、自分にはあまりピンとこ…

村上春樹的・春の散歩

4月4日、晴れのち曇り。mixiの村上春樹関連コミュニティのオフ会に参加した。このオフ会の趣旨は、春樹さんが青春時代を過ごした三鷹を散歩しながら、村上春樹的な場所を巡り、ついでに桜も愛でようというもの。全員と初対面のオフ会は久しぶりだったので、…