師
仕事の後、ジムに行った。
エアロバイクを漕いだ後、筋トレのためトレーニングエリアへ。このジムには真剣に身体を鍛えている人が多く、びっくりするほど胸板の厚いお兄さんやおじさんたちが闊歩している。
マシンのすきまの狭い通路を歩いていると、そんな胸板がっちりなおじさんとすれ違った。浅黒く日焼けした、渋めのオヤジだ。激しいトレーニングを前にしてか、引き締まった表情を浮かべている。
そのとき、オレは目を疑った。
その渋いオヤジの着ている白いTシャツに、黒々と
師
匠
と書いてあったのだ(ブロック体で)。
思わず、二度見してしまった。その二文字以外は、何の文字もイラストもない。それだけに、ものすごいインパクトだった。
あまりにも気になったので、すれ違いざまに振り返ってみた。
その背中には、
後ろについてくる?
と書いてあった。
なんで微妙に弱気なんだよ......と思った。