初谷温泉

月曜日は、車で温泉に連れて行ってもらった。





群馬と長野の県境、荒船山の麓にある初谷温泉。車一台がやっと通れるような山道を抜けた谷の奥に、地上1階地下1階の小さな一軒宿がある。ここでは宿泊しなくても、数百円の料金を払えば入浴できる。





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出迎えてくれたのは、作務衣姿の痩せた男性だった。オーナーだろうか。笑顔が優しく、穏やかな雰囲気の人だった。





宿はごく最近改装したばかりのようで、内装が新しく、清潔だった。昭和レトロ風のデザインコンセプトが全体に貫かれていて、温泉宿とは思えないようなセンスの良さだった。ロビーとつながる食堂にはバースペースがあり、ゆったりしたカウンターの上に本が並べられていた。気になったので背表紙を確認すると、昔の旅行記が多かった。カウンターの反対側の壁際に、アップライトピアノが置かれていた。奥の窓からは、谷の向こうの杉林が見えた。




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浴場はこぢんまりとして、浴槽も数人でいっぱいになるくらい狭かったが、大きな窓があり、明るくて気持ちが良かった。窓からは林が見えた。浴槽は、赤く濁った温泉の湯と、透明の湯の2つがあった。温泉の湯は温度が低く、長くつかっていられた。首までつかる。うん、いい感じ。





上がった後、飲用の鉱泉水をくむ場所に行ってみた。ここは冷泉なので、そのまま飲むことができる。ステンレスのハッチを開けて、穴にたまった水をひしゃくで汲み、ペットボトルに移す。意外にも透明だ。飲んでみると......





炭酸のわずかな刺激の後に、猛烈な金臭さが襲ってきた。ものすごい鉄分だ。頑張ってもう一口飲んでみたが、それ以上は無理だった。たしかに貧血に効きそうだが、こんな水を飲み続けるのは不可能だ。一応ペットボトルは持ち帰ったが、飲むことはできなかった。





何もない温泉宿だけど、なかなか気持ちの良い場所だった。ロビーで休んでいる間にも、続々と宿泊客が来ていた。若い女性の1人客が来ていたのには、驚いた。ひそかに人気があるのだろうか。





一度、泊まってみたいな。