大花火

土曜日。

昼過ぎ、散髪に行った。いつもは空いているのに、この日はやけに混んでいて、なかなか予約が取れなかった。スタイリストの兄ちゃんによれば、今日は多摩川の花火大会があるので浴衣の着付けの依頼が多かったらしい。

「着付けでお金をもらっておいて、こんなこと言うのも何なんですけど、なんで花火大会なんかに行くんだろうって思いますね」
「うん、東京の花火大会は人が多すぎるから、大変だよね。最近は全然行ってないよ」
「ですよね〜。ぼくも行く気にならないっす」
「ほんと、帰るときに人が多すぎて駅に入れないとか、あり得ないよね」

こんな会話をしていたのだが、まさかその直後に花火大会鑑賞のお誘いを受けるとは思わなかった。迷ったが、何も予定もないし、一度くらい行っておくか……と、行くことにした。

二子玉川駅の大混雑を抜け、満員の観覧席を抜けて、会場の外れにある土手にたどり着いたときには、もう花火が上がり始めていた。

行ってみて驚いた。打ち上げ場所から200〜300mしか離れてなかったからだ。しかも向かい風が吹いていたので、打ち上げられた花火玉は風に流され、ほぼ頭の上で炸裂していた。ドン!と花火が開いた後、しばらくすると煤やら破片やらが雨のように降ってきた。近すぎて危険を感じるくらいだった。近くにいた子供はあまりの迫力に、喜ぶより先に怖がっていた。

こんな近くで打ち上げ花火を見たのは久しぶりだった。もう、お腹いっぱいになるくらい堪能できた。

帰りは駅の混雑を避けて用賀まで歩き、美味しいうどん屋でビールを頂いた。M村夫妻、ありがとうございました!