ポルトガル映画祭

京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターにて開催中の「ポルトガル映画祭2010」に行った。

ポルトガル映画は全然知らないし、あまり関心もなかったのだけど、友達に誘われて観に行くことにした。まったく知らない映画を突然観るのも、けっこう好きなのだ。

午後、一本目の映画は『私たちの好きな八月』(ミゲル・ゴメス監督)。ポルトガルの片田舎で映画を撮ろうとする監督自身が出演して、ドキュメンタリー&メタフィクション風の映像が続いたかと思うと、いつのまにか監督の撮影した作中作のドラマが始まり、それが終わるとまた監督が出てくるという、凝った作品だった。全編、ポルトガル山間部の田舎の風景が続き、音楽は現地バンドのムード歌謡がガンガン流れる。このローカルな雰囲気が、自分も旅しているようで楽しかった。

二本目の映画は、『トランス』(テレーザ・ヴィラヴェルデ監督)。ロシアに住む女性が西ヨーロッパに出稼ぎに出たものの、人身売買の組織に誘拐され、絶望的な状況に追い込まれていくという内容。徹底的に救いのないストーリーなのだが、ときおり意味ありげな夢想的シーンが挿入され、何らかの救済が暗示される。しかし、結局はその夢想の中でもヒロインは救われず、絶望のまま終わる。評価はどうであれ、後味はめちゃめちゃ悪い作品だった……

二本とも、監督の意図がよくわからない映画だったけど、何かを表現しようという強いエネルギーは伝わってきた。オレ映画を作ってしまったもの勝ち、みたいな。こんなチャレンジングな作品に資金と時間を投じるポルトガル映画界の懐の深さに感心した。