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東京を離れて

1日に何度も地面が揺れ、電力不足から毎日停電が発生し、買い占めが横行している東京。それに加えて、原発事故への漠然とした恐怖も蔓延している。不安感が人々の間で増幅されて、自分もそれに影響されていた。今まで経験したことのないストレスだった。ひとりで部屋にいると、とてつもない絶望感に襲われることもあった。

ストレスが限界に近づいているのを感じていたところに、長野の友達が遊びに来いと誘ってくれた。この3連休、東京を離れることにした。

長野はいつも通り、平和な雰囲気だった。電力会社が違うので停電もなく、店舗は平常営業。スーパーではティッシュペーパーなどが品薄になっていたものの、東京のように枯渇しているわけではないし、パンも牛乳もカップ麺も普通に売っている。一部の店舗では「節電」が実施されていたが、申し訳程度な感じだった。

どちらかと言えば、東京の自粛ムードとガソリン不足のせいで、観光客が激減しているのが一番大きな影響のように思えた。

長野の人たちにとっても原発事故はホットな話題らしく、ときどきそんな会話を耳にした。でも、遠くの出来事として認識しているようで、東京の人が原発を話題にするときのような切迫した不安感はなかった。対岸の火事と言ったら何だが、その「遠い」感じに、自分も少しホッとした。

でも、ある場所で、中年のカップルが熱心に放射性物質の話をしているのを聞いた。何だろうと聞き耳を立てていたら、男の方が放射線専門医で、福島の現場に応援に行くかもしれないと話しているのだった。女は「なぜあなたが行かなければならないのか」と怒っている。いくら男が安全性を強調しても、女は納得しないのだった。

今、こういうやりとりが日本中でされているんだろうな。