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「黒い十人の女〜version 100℃〜」

友人に誘ってもらい、ナイロン100℃の「黒い十人の女」を観てきた。こんなメジャー劇団の舞台を観るのは、学生のときに夢の遊眠社を観に行ったとき以来だ。わくわくしながら、青山円形劇場へ。

この劇場は小規模な上に、舞台をぐるりと客席が囲む円形劇場なので、観客と役者との距離が異様に近い。しかも、舞台と客席の間には何の仕切りもない。開演前の舞台を見て、近すぎやしないかと思ったが、開演するとその違和感は消失した。

簡素な舞台装置のなかで役者がしゃべりはじめると、まったく異質の空間がそこに出現した。本当に目と鼻の先、1メートルしか離れていない場所なのに、もうそこは違う世界なのだ。透明な壁が立っているようだった。これは、プロの役者のスキのない芝居が生み出す魔法なのだろう。通常の劇場と違って全方向から視線を浴びるこの舞台は、役者にとっても神経をすり減らす状況だと思うが、彼ら……いや彼女らはどんな場面でも集中を切らすことがなく、舞台上に現出した異空間を支えていた。

円形劇場は、演劇の場としては面白いが、「正面」がないため演出が難しいと、劇場建築の教科書に載っていた気がするが、さすが一流劇団。非常に凝った舞台装置と演出で、不自然さをほとんど感じずに観劇できた。ときどき、角度によっては役者同士でかぶって顔が見えなくなってしまったけど、あれは仕方ないかな。

内容について書くと……とても「人間らしい」お話だった。とても、後味が悪くて。元になった映画(市川崑監督)も見てみたいと思う。

自分としては、美女を10人も見られて幸せだった。ひとりひとりが個性的で、それぞれ違う魅力を放っていた。松永玲子さんはエッセイを読んだことがあったが、あんなに魅力的な人だったとは。緒川たまきさんと中越典子さんのウェストの細さには目を疑った。たまき嬢は声も美しかった。昔、好きだったなぁ。