『マラフレナ』

リズム・アンド・ブックスで購入した、アーシュラ・K・ル=グインの『マラフレナ』。サンリオSF文庫、1983年初版。当然のごとく絶版。

 

SF作家として確固たる地位を築いた作者が挑んだ「歴史小説」。1820年代のヨーロッパ、架空の小国「オルニシア」を舞台に、革命を夢見る主人公が故郷を離れて成長する姿と、故郷に残った家族がそれぞれの人生を生きる姿を描いている。細やかな心理描写と美しい自然描写が対をなして、どっしりと読み応えのある「本格」小説だった。上下巻合わせて500ページを超える長さも良い。

 

人物の描き方がとても深く、味がある。ロシアの小説のように、ひとりひとりの登場人物が掘り下げられている。とくに、女性。恋愛や結婚に対する女性の心理は、いろいろと勉強になった(?)。さすが女流作家。

 

これほど堂々たる小説が、ほとんど知られないまま絶版になっているのはもったいなさすぎる。多くの人に読んで欲しいものだ。

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