屋久島旅行(2日目)

3:30起床。同室の3人はまだ寝ているので、暗がりの中でこそこそと身支度する。準備の遅い自分が5:06発の白谷雲水峡行きバスに乗るためにこの時間に起きたわけだが、緊張(興奮?)してほとんど眠れなかったので、実質徹夜だった。

4時に、同室のMさんを起こす。Mさんとは昨夜知り合ったばかりだが、彼も白谷雲水峡に行くというので、一緒に行くことになった。彼は今日1日しか時間がないので、雲水峡と縄文杉を両方回る予定だった。結構な強行軍だ。

カッパを着て外に出ると、まだかなりの勢いで雨が降っていた。

始発バスに乗っていたのは、20人くらい。真っ暗なクネクネ道を30分ほどバスに揺られた後、唐突に目的地に到着した。下ろされた駐車場は外灯もなく、真っ暗闇。念のため持ってきていたヘッドランプがいきなり役立つことになった。

登り口がわからず、もたもたしているうちに、他のグループは先に行ってしまった。ガイドがいないと、こういうとき困る。6時近くになって空が白み始めたとき、ようやく登山口が見つかった。薄暗い森の中を歩き始める。 先を行くのは、Mさん。

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先に進むためには、必ず越えなければならない徒渉地点。橋を架けないのは、自然保護のため?この日の前日の土曜日は、川が増水して渡れなかったらしい。土曜日に来た人は災難だったとしか言いようがない。

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この森はお手軽な観光地として登山道が整備されているが、それなりに登りがあるので(一番上まで行くと標高差400m)、ハイペースで登るMさんについていくと息が切れた。道ばたに設置された塩ビ管から水が流れているのを見つけ、ごくごく飲んで喉の渇きを癒した。飲み終わってから視線を上げると、その塩ビ管は30cmくらいの長さしかなく、すぐそこを流れる沢の水が出てきているだけだった。湧き水じゃなかったのか!

後で知ったが、屋久島ではこれが普通だった。それだけ水が豊かなのだ。どこで水を飲んでも、まったく味を感じなかった。超軟水。

そう、後になってから気がついたことがある。森の中で、においがしないのだ。切り株や倒木の近くだと屋久杉のいい香りがするのだが、土のにおいや草のにおいがしない。いつも雨で洗われているからだろうか。 

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7:30、頂上の太鼓岩に到着。あいにく、雲でまったく眺望は見えず。 

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もっとも、その場にいたガイドさん曰く、今日は風がなく雨も弱いので、屋久島としてはまずまずの天気なんだそうだ。

Mさんとはここで別れることにした。年下でサッカーチームにも所属しているMさんとは、ペースが違いすぎた。こっちはトレッキングシューズでも難儀しているのに、彼は布製のスニーカーでほいほい登っていくのだ。脚力が比較にならない。

縄文杉に向かうMさんを見送った後、これからどうするか考えてみた。いくら何でも、帰るには早すぎる。縄文杉までは無理かもしれないが、行けるところまで行ってみるか。

太鼓岩から辻峠に下り、今まで登ってきた谷筋の反対側を下っていく。風向きの影響か、こちらの森は霧が濃かった。

ヤクシカが多い。 

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縄文杉へのメインルートであるトロッコ道に合流すると、色とりどりのレインウェアを着た人たちが行き交っていた。今までの道とはずいぶん雰囲気が違う。 

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 平坦な木道なので楽に歩けるものの、退屈だった。道の先を見通せるので、風景のワクワク感がないのだ。黙々と、ただひたすら足を前に進めるだけの作業。10分でうんざりしてしまった。標準の縄文杉ルートだと、登山口からずっとここを歩かなければならない。これはつらいだろうな。

途中休憩を挟みつつ、1時間ほどで縄文杉へと続く林道の入口に到着。人がたくさん並んでいて、何かと思いきや、トイレ待ちの行列だった。トイレするのに何分かかるんだろう。

道はここから急に狭く、険しくなる。急傾斜の階段や滑りやすい石の上を歩かなければならない。しかも人が多いので、登る人と下る人の行き違いで渋滞が発生して、なかなか進まない。地味に疲れる。

30分ほどで、ウィルソン株に到着。 

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そんなつもりはなかったのだが、周囲のノリに流されて女子的な写真も撮ってしまった。 

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霧が深く、神秘的な雰囲気だった。  

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この奥に、縄文杉がある。でも、もういいやという気分になっていた。ここから、さらに2時間近くかかるのだ。往復で4時間も追加したら、帰りのバスが危うくなる。それに峠をもう一度越えないといけないから、体のパワーも残しておく必要がある。

縄文杉は、また来たときにしよう。いつか。

 元来た道を戻り、トロッコ道の終点に出ると、あれほどたくさんいた人が消えていた。今頃、みんな縄文杉を目指しているのか。おかげでゆっくりトイレに行けた。

水場で水を補給して、昨夜スーパーで買ったパンをかじる。しばらく休んで、また、トロッコの木道を歩く。 

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「楠河分かれ」でトロッコ道を離れて、辻峠に向けて登り始める。この時間、こちら側から登る人はほとんどいないようだ。一人きりで、霧の漂う森を歩く。出会うのはヤクシカのみ。聞こえるのは、サルの叫び声だけ。 

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登りはきつかったけど、贅沢な時間だった。

正午、辻峠に到着。太鼓岩の上にいたガイドさんが「昼には天気が回復するかも」と言っていたので期待していたのだけど、むしろ雨は強くなっていた。太鼓岩にもう一度登るのはあきらめて、帰ることにした。

ここからは下りだけだと思うと、気が楽になった。しかし本当の地獄はこれからだった。下り道を10分も歩いていると、一気に脚の疲労が炸裂した。もうヘロヘロになりながら、歩き続けた。

朝は暗かった森の中も、だいぶ明るくなっていて、「苔むす森」の緑が鮮やかに見えた。

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15時、白谷雲水峡入口に到着。バス停横の東屋は、疲れた観光客でいっぱいだった。何とか雨に当たらない場所を確保して、座り込む。1時間待って、宮之浦行きのバスで宿に帰った。

 

今回は往復で歩行距離20kmちょい。これが自分の限界かなぁ。

夜は、同室の人たちと郷土料理屋へ。屋久島らしい料理を食べることができた。

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