猟師という生き方

iPadAmazonのアプリを開いたら、この本がレコメンドされてたので、素直にポチッと購入してしまった。

 

猟師の肉は腐らない

猟師の肉は腐らない

 

  

食文化論の権威である筆者が、東北の山中で半自給自足の生活を送る猟師のおっちゃんと友だちになり、そのワイルドかつ充実した日々を克明に記録したエッセイ。

猟師のおっちゃんが親から受け継いだ山は、集落もなく、電気も電話もない。茅葺きの小さな家にたった一人で暮らしている。話し相手は、1頭の黒い猟犬のみ。

毎日暇なんじゃないかと思ったら、ものすごく忙しいのだった。山菜を集め、沢で魚を釣り、田んぼでどじょうを掬い、罠で野ウサギを捕らえる。仲間を集めて、イノシシを狩る。猟から戻ると、今度はそれを解体し、保存が利くように燻製にする。革はなめして利用し、内臓は煮込んで犬のメシにする。さらに、小さな畑で菜っ葉、ゴボウ、大根などを栽培。味噌・豆腐も自家製。あと、書かれてはいないけど、洗濯も全部手洗いだから大変だろう。

人ひとり生きていくために、やらなければならないことはこんなにあるのかと思う。世間から離れて仙人のように暮らすのはロマンだが、そこにあるのは過酷な狩猟採集民の生活なのだ。

このおっちゃんは猟師の家に生まれ、物心ついた頃から山での生き方を教え込まれてきた人だから、こういう環境ではむしろ生き生きとして、楽しく毎日を過ごしているようだ(寂しさはあるようだが)。こういう人生を選べる人は限られている。

自分がこの本をポチッとしたのは、最近、狩猟に興味が出てきたからでもある。自分の中には、自然と一体化したいという欲求があるらしい。そのための過程として、山登りなどよりもっと自然と深く関わる可能性を感じるのが、狩猟なのだ(もちろん、これには「釣り」も含まれる)。

しかしこの本を読んで感じたのは、自然の中に溶け込もうとするほど、それに要するスキル・知識・体力のハードルは高くなるということ。このおっちゃんの真似をするのは無理だ。イノシシ猟は、相当面白そうなのだが……

とりあえず、渓流釣りでも始めようかな。来年。