入院記(4)

9/30

松葉杖の訓練が始まった。

まだ右脚に体重をかけられないので、左脚1本と松葉杖だけで歩行する。なかなかしんどい。運動不足なのもあるが、1分くらい歩くだけでも相当疲れた。

手術前の計画では、調子が良ければ10/2〜3の週末で退院するつもりだったが、手術した脚に体重をかけられない(免荷重、略して「免荷」)状態で家に帰るのは危険と思い、断念した。階段や障害物の多い家の中、右足を床につけられない状態で日常生活を送るのはリスクが高すぎる。

術後3週目には、体重の1/3まで右足に荷重をかけられるようになる。あと少しだ。会社には迷惑をかけるが、そこまで待つことにした。

 

10/3

同じ病室の患者さん2人が退院し、広い病室の半分が空になった。いつもはカーテンで閉ざされている空間が開放されて、広々とした雰囲気に。まぁ、自分もベッドにいるときはカーテンの中に閉じこもっているのだけど、人の気配が減るだけでだいぶ気が楽になった。f:id:charlie22:20151011145541j:image

同室の患者さんたちは、皆、自分より年配の方々だった。一番先に退院したのは、準備運動なしでテニスをやってアキレス腱を切った人。仕事が忙しいからと、術後1週間で松葉杖をついて退院していった。もう1人の退院者は、膝に人工関節を埋め込んだ高齢の方。正確には退院ではなく、転院だった。病室を訪れた主治医が、リハビリ専門病院への転院を熱心に勧めているのを何度も耳にしていた。お年寄りはリハビリを面倒がる場合が多く、せっかく手術したのに関節が固くなって歩けなくなってしまう人が多いらしい。

病室に残った患者さんは、工場でクレーンの吊り荷に足を挟まれて骨折した方だった。すねの骨が2本潰れて、手術後は1週間ベッドから動けなかったらしい。自分より10日ほど早く入院していたようだが、退院は10月末と言っていた。やはり、骨折は治るまで時間かかるなぁ。

 

10/6

術後3週目。今日で退院ということで、リハビリは盛りだくさんの内容だった。

まず、右脚に1/3荷重をかける練習。右脚だけ体重計に乗せて、目盛りが体重の1/3になるように荷重をかけて、その感覚を覚える。感じとしては、足を地面につけて、ほんのちょっと押す程度。正直、微妙すぎてよくわからない。

次に、右脚1/3荷重で両足をつけての松葉杖歩行訓練。右足は地面につける程度ながら、両足を使えると格段に安定性が良くなった。そこから、松葉杖での階段昇降、地べたから立ち上がる方法などを駆け足で教えてもらう。

朝のリハビリ後、荷物をまとめる。と言っても、ほとんどの荷物は前日に家族が持ち帰っていたので、すぐ終わった。

ぼーっと待っていると、病院の会計の人が請求書を持ってきた。金額を見るのが恐ろしかったが、予想していたよりは低く、ほっとした。入院するときに、医療費を自己負担限度額まで減らしてもらう書類(限度額適用認定証)を提出しておいてよかった。その書類を出さなくても後から還付を受けられるのだけど、最初に払う額が少ない方が気が楽だ。

迎えに来た家族の車で、病院を後にした。3週間ぶりの外の世界は新鮮だった。何も変わっていないはずなのに、目に見えるものすべてが新しく、キラキラして見えた。そのうち、慣れてしまうのだろうけど。