「山本二三」展

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7月16日。

買い物をしようと、車を飛ばして松本に向かった。山から下りてきて、街に入ると、なんだかいつもよりも人が多い。通りのあちこちに人だかりができている。

満車寸前の駐車場に車を停めて、街を歩き出すと、人だかりの原因がわかった。大道芸のパフォーマーだ。あちらこちらで、芸を披露している。どうやら、街全体で大道芸のイベントを開いているらしい。

ただ、残念ながら、自分はあまり大道芸に興味が持てないのだった。歓声を上げる人たちの横を通り過ぎて、買い物に向かう。

用事を済ませて、昼飯を食べようと思ったが、知っている食べ物屋さんはどこも観光客でいっぱいで、混み合っていた。あまり松本のお店を知らないので、行き場を失う。曇り空が晴れて、夏の日差しが降り注いできた。暑すぎて、道を歩いているだけで生命力が消耗する。

繁華街から外れれば、人も少ないかもしれない。少し歩いて、前に一度訪問した「想雲堂」に行ってみた。やはり、空いていた。冷たい飲み物を飲んでいる家族連れが一組だけ。カウンターに座って、唯一の食事メニューである、スリランカカレーを注文。うん、美味しい。家族連れはすぐに出て行ったので、客は自分一人きりになった。

前回ここに来たとき、カズオ・イシグロの「忘れられた巨人」の古本を購入したのだった。半年ほど積んでいたのを、そろそろ読もうと思って今日持ち出してきたのだが、まさか買った店で読むことになるとは思わなかった。アイスコーヒーを飲みながら、ゆっくり1時間ほど読書。

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店を出ると、午後3時頃だった。帰ろうかとも思ったが、街中で見かけた展覧会のポスターが気になっていた。少し日が陰って涼しくなっていたので、松本市美術館まで歩くことにした。

 

企画展「日本のアニメーション美術の創造者 山本二三展」。昨日から始まったばかりらしい。それほど興味がなかったので迷ったが、出てきた人が満足げな様子だったので、入ってみることにした。

山本二三さんは、アニメーションの美術監督や背景画家として、宮崎駿などと組んで活躍してきた巨匠らしい。最初に展示されていたのが、「未来少年コナン」の背景画の原画だった。

見た見た!この絵、見たことある!の連続。当時のTV放送の画質では、ぼんやりとしか見えなかった背景が、鮮やかな絵として目の前にあった。意外と画面が小さくて、驚くほど精密に描き込まれている。後の作品になるほど書き込みの密度が高まり、「時をかける少女」では緻密さが極限に達して、虫眼鏡で見たくなるレベルだった(隣で鑑賞していたおばさんは、写真と勘違いしていた)。

アニメーションって、本当に「絵」で作られているんだなぁと、当たり前の事実をまざまざと実感したのだった。