「ゲーム・オブ・スローンズ」

特に意味もなく「TIME」誌のツイッターアカウントをフォローしているのだけど、たびたび記事になるのがこの「ゲーム・オブ・スローンズ」。アメリカのケーブルテレビ局が制作した、ファンタジー世界を舞台にした大作ドラマということしか知らなかったが、なんとなく気になっていた。アメリカ人が夢中になっているファンタジー風ドラマとはどんなものだろうと。

それが突然、Amazonプライムビデオで全シリーズが公開された。これはよい機会と、シーズン1から見始めたわけだが……

「ロード・オブ・リングス」みたいなものを想像しつつ、第1話を見てみたら、いきなり度肝を抜かれた。容赦のない残虐シーンやエロシーンの連続。さすが、堂々とR-15を宣言しているだけのことはある。

舞台は、中世ヨーロッパをモデルとした架空の大陸。有力な領主たちが微妙なバランスを保ちつつ、1人の王に従ってきたが、王の死とともに熾烈な権力闘争が始まり、全土が戦いの渦に巻き込まれていく。やがて、数百年前に途絶えた伝説がよみがえり始める。呪い、魔法、アンデッド、そしてドラゴン。

映像は、文句のつけようがないクォリティ。精巧に作り込まれた巨大なセット、リアルさと美しさが追求された衣装の数々、大作映画に引けをとらないCG。どれだけの予算がつぎ込まれたんだろう。

脚本もすばらしい。まさかそんなことになるとは…とか、ここでこうなるの!?とか、この人死ぬんかい!!とか、毎回驚かされる。視聴者が思い描いている「この先のストーリー」を必ず覆してくるので、緊張感がすごい。そして、各エピソードの終わりの「引き」。続きが気になって、つい次のエピソードを見てしまう。

シーズン1を見ていて、薄ら薄ら感じていたのは、数年前のNHK大河ドラマ真田丸」と似ているな、ということ。いや、「ゲーム・オブ・スローンズ」の方が先なのだけど、脚本に共通点がある。

都から遠く離れた北方の地で平和に暮らしていた領主の一家が、王座を巡る争いに巻き込まれ、家族全員がばらばらになってしまう。ドラマは、引き離された家族それぞれの視点を中心にして展開する。この点が「真田丸」と一番似ている。

重要な(と視聴者が考えていた)出来事をサクッと省略するところや、登場人物それぞれが個性的である(キャラが立っている)点、その特徴付けの方法も似ているように思う。あと、美術のこだわり具合や照明の当て方なんかも……これは脚本と関係ないけど。

とにかく、三谷さんは「ゲーム・オブ・スローンズ」から何らかの影響を受けたのではないかなと、想像。

ただ、日本のドラマとのレベルの差を感じてしまうのが、役者のクォリティ。「真田丸」で見られた名優の熱演もよかったけど、「ゲーム・オブ・スローンズ」のキャストは全員がすばらしい演技を見せてくれる。特に子役のレベルが日本とは違いすぎる。だから物語に引き込まれる。

昨日で、やっとシーズン2を全部見終えた。続きが気になるが、しばらく間を置こうと思う。毎回、凝りまくった映像と脚本が詰め込まれた1時間なので、お腹が一杯になってしまうのだ。見るのに気合いがいる。

正直、シーズン7まで完走する自信がない……