雪の上高地

3月20日、友達に誘われて、雪の上高地を歩いた。

前日、乗鞍高原温泉の宿「雷鳥」へ。

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古い旅館をリフォームしたゲストハウス風の自炊宿。我々は3人で個室に泊まったが、ドミトリーもあり、一人でも気楽に泊まれそうだ。建物のつくりや設備は古いが、トイレ以外の共用部分はキレイにリフォームされていた。源泉掛け流しの温泉は、木をふんだんに使った内装が心地よく、お湯の質もかなり良かった。

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3月下旬でも夜は氷点下に冷え込む。薪ストーブ最高。

 

翌朝、宿の人に車で釜トンネルまで送ってもらう(ここまで送迎6000円)。この釜トンネル、冬期は全面通行止めになるが、歩行者は通行が許可されている(自転車も可、らしい)。ここを1時間ちょい歩くと、上高地に入ることができる。

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トンネル内の照明が落とされて真っ暗な上に、吹き込んだ雪や湧水が凍っている箇所があるので、ふらふら歩いていると危ない。ときおり工事車両も通る。ヘッドランプは必携。

トンネルを抜けると、焼岳が見えてくる。

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きたー。大正池

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森の中を歩く。

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積雪は1mを超えていたが、気温がずんずん上がり、10℃を超えるくらいだったので、雪がしまって歩きやすかった。宿でレンタルのスノーシューを借りてきたのだけど、全然いらなかった。チェーンスパイクだけで十分だった。

 

怪しい足跡を発見。

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小さいけど、ツキノワグマの足跡か?

 

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大正池の近くでテントを張っている人がたくさんいた。気持ちよさそうだけど、いいのか?

 

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 穂高連峰。天気が良すぎて山が白飛びしてしまう。

 

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河童橋に到着。ここまで約3時間半。

橋のたもとで昼飯。あちこちに人がいて賑わっていたが、前日よりは少なかったらしい。連休最終日だからだろうか。食後、すぐに帰途についた。

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冬の上高地に、こんなに簡単に来られるとは知らなかった。知っていても、1人だったら、来ようとは思わなかっただろうなぁ。友達に感謝。

スノーシュー体験

もう3月。日ごとに太陽が明るくなり、暖かさが増してくる今となって、雪まみれの記事を更新…

2/11〜12で、群馬県万座温泉に行ってきた。

軽井沢で友達と待ち合わせて、クルマに乗せてもらう。有料道路の費用節約という目的もあるが、なにより三菱アイの雪上走行能力が心許なかったので、同乗をお願いすることにした(その危惧は当たった)。

冠雪した浅間山の美しさを堪能しつつ、北に向かってドライブを続けていると、周辺の雪が深くなってきた。万座温泉の標高は1800m。万座ハイウェーに入ってしばらくすると、路面が圧雪路になった。路肩には数メートルの雪。

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それなりの斜度があり、カーブが連続する山岳路。アイでは厳しかったな。

友達のクルマはFFのスズキ・ソリオだったが、圧雪路を安定して走っていた。ただ、カーブで微妙にケツが流れる感覚があり、個人的には落ち着かなかった。運転していたのが雪道経験の豊富な人だったので不安はなかったものの、ちょっと気持ち悪くなった。

午後3時頃、万座に到着。軽井沢は快晴だったが、こちらは雪が降っていた。

時間があったので、かねてから興味があったスノーシューを試してみることにした。といっても、アレンジはすべて友達にお任せ…。万座プリンスホテルでレンタルのスノーシューを借り、着替えて、万座スキー場のリフトに乗って山の上へ。

どんな装備が必要なのかよくわからなかったのだが、靴だけは保温材入りのトレッキングシューズを用意しておいた。

webshop.montbell.jp

アウトレット品が安く手に入った。モンベル独自のソールは非常にグリップが良く、氷の上でもあまり滑らなかった。2時間ほど雪の上を歩いて、靴の中が冷たく感じることはなかったので、保温材も効いていたと思う。

ウェアは、手持ちの山装束を組み合わせて着てみた。暖かいインナーを着て、ダウンジャケット、ネックウォーマー、毛糸の帽子。濡れ防止のために、山用ズボンの上にレインウェアを重ねてみた(結果的には気温が低すぎて、ちっとも濡れなかった)。

レンタルのスノーシューは、靴を固定する部分とベース部分が別々に可動する、本格的なものだった。

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茶色のストラップでかかとを固定し、黒いストラップで甲を締め付ける。慣れると簡単。

 

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山の上は、白一色の世界だった。そのうち雪も降ってきて、左を見ても右を見ても、上を見ても下を見ても、白、白、白。

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安全なスキー場だからいいけど、これが深い山の中だったら、かなり不安な気持ちになるだろうな。

スノーシューは幅広い面で体重を支えてくれる道具だが、降ったばかりの新雪だとこれだけ沈んでしまう。それなりに大変だ。

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もっとも、何も付けなければ膝上まで雪に埋まるだろう。

スキー場の急斜面は歩きづらかったので、林の中に入り込んで遊んでみた。

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楽しい。これが晴れていて、景色の良い山の中なら、もっと楽しいんだろうな。午後4時を過ぎ、スキー場の営業時間が終わってしまったので、引き上げた。

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気温マイナス15℃。友達に、まつげが凍っていると言われたが、まったく気付かなかった。写真を撮ってもらえばよかった。

夜は刺激の強い温泉と、友達との宴会を楽しんだ。そして翌朝。

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一晩でこれだけ積もり、クルマが埋まってしまった。氷点下のパウダースノーは、まるで発泡スチロールで作った舞台用の雪のように、さらさらしていた。ときおり日が差してくると、あたり一面が銀色に輝いて、目を開けていられないくらい眩しかった。

冬の山もいいなぁ。遭難しなければ……

黒斑山

10月22日。歩きたかったので、また山に行くことにした。紅葉も気になるし。

ただ、先週わりとハードなハイキングをしたばかりなので、今回はイージーモードで登りたかった。うちから比較的近く、登山口から2時間で登頂できるということで、黒斑山(くろふやま)を選んだ。

天気予報は晴天だったので楽しみにしていたが、朝起きてみると曇り。山は霧に覆われている。朝の予報では、昼近くまで濃霧に注意とのことだった。

一気にテンションが下がって朝の時間をボケーッと過ごしてしまったが、一応行ってみるかと気を取り直して、急いで準備。遅くとも10時には登り始めないと。

クルマを走らせていると、だんだん霧が晴れて日が差してきた。いいぞ。

標高1973mの車坂峠に向けて、チェリーパークラインを登る。クネクネ道がうんざりするほどしつこく続く。ひたすら登り続けて、高峰高原ビジターセンターの駐車場にクルマを乗り入れた……が、停めるところがない!

時刻は10時。30台は停められそうな駐車場は、すでに満車だった。さすが紅葉シーズン。臨時駐車場とおぼしきスペースに1台分の空きを見つけて、なんとか停めることができた。9時には来ないとだめだな。

10時過ぎ、登り始め。

 

浅間山の火口から3kmも離れてない場所を登るので、登山口に火山情報が掲示されている。浅間山の現在の噴火警報レベルは「2」。現在、火口付近に近づくことはできない。

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空気は冷たいものの、風はなく、快適。そこそこ急な登りが続くが、先週の登りと比べればずっと楽に感じる。カラマツ?の黄葉が広がる。

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薄く広がる雲の向こうに、遠くの山々がよく見えた。

火山の近くということで、避難シェルター。浅間山が突然噴火したら、ここに逃げ込むのか。ちと狭そうだが。

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手前に積んであるケーブルは、工事用の資材。登山口に沿って延々とケーブルが続いていていた。なんと、携帯電話の基地局を山頂に設置するのだという。たしかに電波は微妙な場所だったが、これだけ自然豊かな場所に醜いケーブルが這っているのを見ると、必要か?と思ってしまう。

ややきつい階段状の登山道をしばらく登ると、突然視界が開けて、それまでの穏やかな森の風景が一変した。

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浅間山の山頂部分(前掛山)が間近に見えるこの場所は、外輪山の一部。カルデラを囲むように、そり立つ断崖が続いている。端っこの方は危険ながら、眺めは最高。

上の写真中央に写っている「トーミの頭」と呼ばれる崖に登り、遠くを見やると、遙か彼方に富士山が見えた。

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下を見れば、この通り。カルデラの底の草原を歩く登山者が豆粒に見える。下から崖上まで続く道があるようだが、ものすごい急坂で、登るのも降りるのも大変らしい。

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この場所から10分ほど歩くと、黒斑山の山頂に到着。狭い山頂は人でごった返していた。

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お昼のおにぎりを食べようと思ったが、人が多すぎて居場所がない。そこでふと、ガイドブックに「山頂直下に小さなテラスがある」と書いてあったのを思い出し、下を覗いてみると、すぐ下の崖の途中に幅1mほどの平地があり、獣道で登山道とつながっていた。草をかき分けて降りてみると、眺望を独り占めできる特等席だった。

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崖から足をぶらぶら。

風景が広すぎてカメラの画角に入らなかったので、何枚か撮った写真をGoogle Photoで合成してパノラマ写真にしてみた。

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火山の景観は雄大だ。

 

下山後、高峰高原ビジターセンターのカフェで一息入れた。登山口のお店にしては、キレイで、なかなかおしゃれなカフェだった。もう少し来やすい場所にあったら、愛用するのになぁ。

https://www.instagram.com/p/BL2jgNTB2A9/

四阿山

10月15日、土曜日。久しぶりに、予定のない休日と晴天が重なった。

朝6時に起きてカーテンを開けると、雲一つない空。気温もそれほど寒くなさそうだ。山登りかバイクツーリングか迷ったが、仕事でじっと座り続ける生活にストレスがたまっていたので、とりあえず思い切り歩くことにした。

ばたばたと準備して、クルマで出発。菅平牧場に向かう。

菅平牧場からは、根子岳(ねこだけ)と四阿山(あずまやさん)の登山口にアクセスできる。さて、どちらに登るか。と、クルマを運転しながら考えた。根子岳は「花の百名山」として名高いらしいが、今は当然なにも咲いていない。ただ、2時間で登れる。四阿山は本家「百名山」だが、コースタイムは3時間。今の自分の体力では、ちょっときついかもしれない。

登山口に着いたのは、9時過ぎ。時間的には、四阿山でも行けそうだ。登山者の様子をうかがってみると、普通の親子連れも四阿山の登山口に向かっている。よし、思い切って行ってみよう。9時半、登り始め。 

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白樺林の中を歩く。紅葉は、まだまだだなぁ。途中、小さな沢を渡った。丸木橋が壊れていて、徒渉しなければならないのだが、飛び石の1つが2cmほど水没していた。ヌルッと滑りそうで、足を踏み入れるのに勇気がいった(実際はざらっとしていた)。

白樺の林を抜けると、本格的な登りが始まった。予想してたとおり、キツい。最初のピークである小四阿(こあずま)まで、1時間ちょいで300mの標高差だった。すでに半分以上のエネルギーを使った感じがしたが、頂上まではあと400m登らなきゃならない。次の中四阿(なかあずま)のピークで引き返そうかと、真剣に考え始めた。

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しかし、中四阿まで案外早く着いて、最後まで行けそうな気がしてきた。それに、苦労して登ってきた割には、中四阿は達成感のある雰囲気の場所ではなかった。眺めは良かったけど。

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そのままの勢いで最後のピークに向けて歩き始めたが、ここからまた厳しい登り。勢いだけで黙々と歩き続けた。

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12時過ぎ、標高2354mの山頂に到着。標高差769m、移動距離はそれほどなかったものの、ここ数年で一番キツい山登りだった。

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山頂にはたくさんの人がいて、お弁当を食べていた。自分も岩に腰を下ろして、浅間山八ヶ岳を遠くに眺めながらおにぎりを食べた(富士山は見えなかった)。

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浅間山の火口から吹き出す噴煙がよく見えて、面白かった。

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13時過ぎ、下山開始。尾根伝いに根子岳の山頂を目指すこともできたが、一度下ってから、かなりの高さを登り返す必要があったので、今回はやめておいた。もう脚が持たない。

下山もキツかった。下りているのに息が上がり、脚が動かなくなってくる。足下がおぼつかなくなって、何度も休憩を入れてしまった。

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下りの途中で、奇妙な体験をした。

中四阿のピークを過ぎたところで、いったん小休止した。ここのピークは高さ10mほどの尖った岩山になっているが、険しくて危険なので、登山道は岩山を迂回した巻き道になっている。この岩山から20mくらい離れた場所でザックを置いて、根子岳の山頂を写真に撮った(下の写真)。

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四阿山から根子岳の山頂に向かう場合、この右側の尾根を登ることになる。ここから見ると、けっこうな距離と標高差がありそうだった。欲を出してあっちに行かなくてよかった、と思った。

そのとき、岩山のピークの方から、女の人の声が聞こえた。「またあんなに登るなんて、ねぇ?」。自分と同じことを考えている人がいるんだなと思って振り向くと、誰もいなかった。

しばらくすると、岩山の脇の登山道から1人の女性登山者が現れた。その人の後には、誰も来なかった。自分はすぐにその場を立ち去った。

落ち着かない感じがした。あの女性はずっと一人で行動していたし、あんなに大きな独り言をしゃべるような感じにも見えなかった。いや、あれは明らかに相手がいることを前提とした話し方だった。

山で幻聴を聞く話はよく聞くが、あれがそうなのだろうか…

15時15分、下山。菅平牧場のソフトクリームを食べた。日差しが強くて、暑いくらいだった。

https://www.instagram.com/p/BLkt2avBFdX/

 

烏帽子岳

遅い夏休みの最後は、新しいバイクでキャンプツーリングの予定だった。しかし、天気予報では晴れそうな(雨が降らなさそうな)日が9/25の1日しかなかった。雨の中のキャンプにはうんざりしていたので、この日は久しぶりの山登りにあてることにした。今まで右膝の状態を考慮して山登りを控えていたのだけど、もう問題ないだろう。ガイドブックを見ながら、登る山を選ぶ。 

信州の里山トレッキング東北信編

信州の里山トレッキング東北信編

 

 久しぶりなので短時間で登頂できること、近場にあること、ソロ登山なので登山者が多いこと(いざというときに発見してもらえる)を条件に検討した結果、東御市烏帽子岳に登ることにした。

しかし、急に思いついたので何も準備できず、地図も用意できなかった。まぁファミリーハイキング向けの山だし大丈夫だろうと、朝立ち寄ったコンビニでガイドブックのページをコピーして持って行った。

予報通り、天気は快晴。この時期としては気温も高く、風もない。ウインドブレーカーもいらないくらいだった。

久しぶりの青空の下、クルマを走らせて登山口まで一気に登る。窓全開で爽快な気分。でもバイクとすれ違うと、バイクのが良かったなと思ってしまう。

登山口の地図でコースを確認。今回は湯ノ丸山をスルーして烏帽子岳に登る、ぬるいコースである。

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登山道は、キャンプ場へと続く林道から始まる。この林道、場所によっては地面が荒れているので、大型バイクでツーリングに来る人は大変かもしれない。

キャンプ場は湿原と森に囲まれた草原になっており、少し狭いが、なかなか素敵なサイトだった。ひっきりなしにハイカーが通るので、熊鈴がうるさいかもしれないが…

キャンプ場を過ぎると、登山道に。

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ゆるやかな上りが続く。

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30分くらい歩くと尾根に出る。

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白い花には、夏が終わっても生き残っているハチやアブたちが群がっていた。

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だんだん眺めが良くなってくる。

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山頂が見えてきた。

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やったぜ登頂!と思ってザックを下ろしたら、違った。もっと先に山頂が見えた。ここは「小烏帽子岳」というピークだった。

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岩場登りは楽しい。一歩間違えると大変なことになるけど(写っている人は知らない人です)。

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今度こそ登頂。地元のおっちゃんらで賑わっていた。

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写真に写っている斜面はなだらかだが、この反対側は急に切れ落ちていて、ものすごい崖になっている。眺めに見とれてふらふらしていると、落ちかねない。けっこう危険だ。

崖から少し離れた岩陰に座っておにぎりを食べていると、後からやってきた家族連れが崖の上でレジャーシートを広げ始めたので、ハラハラした。その女の子が座っている30cm後ろは崖なんだけど……。

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ちょうどお昼になった時刻で、下山した。

帰り、途中の分岐点で登りとは違う道を選んでみた。迂回して湿原を通り、キャンプ場に至るコース。歩き始めるとすぐに藪が深くなり、道が曖昧になってきた。こちらはあまり人が通らないらしい。鬱蒼とした森に入った。

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道は続いていたものの、行けば行くほど笹藪が深くなり、道が見えなくなってきた。ガイドブックにも、登山口の案内図にも載っている道なのに、この状態とは、どれだけ人がこないのか。だんだん怖くなってきたので、引き返した。

湿原へはキャンプ場の側から簡単に入ることができた。あの道をわざわざ通る人がいないわけだ。

この森が色づいてきたら、キレイなんだろうな。

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14時前、登山口に到着。

膝が痛くなることも(それほど)なく、無事に登り、下りることができた。雪が降る前に、また何度か登りたいな。

湿原・古本茶店

友達を連れて、1か月ぶりに池の平湿原に行った。標高2000mの夏は、完全に終わっていた。湿原の花はめっきり少なくなり、あれほど元気に飛び交っていたマルハナバチも姿を消した。訪れる人の数もまばら。

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エゾリンドウは元気に咲いていた。このハチ、図鑑で調べても同定できず。昆虫は難しいね。

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マツムシソウジャノメチョウ。

 

下山し、温泉に行った後、海野宿に最近オープンしたブックカフェを見に行った。採算度外視で、趣味でやっているような感じのお店だった。書籍の趣味は良いし、落ち着く空間だった。

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でも、もうちょっとお客がいた方が入りやすいかな(^_^;)

『羆嵐』

ヒグマの恐ろしさを克明に描いた傑作として知られる、この長編ドキュメンタリー。以前本屋で見かけたときに買っていたのだが、積んだままになっていた。ネットでは「ものすごく怖い」と評判だったこともあり、なかなか気軽に読み出せなかった。

先日、NHK BSで、知床を取り上げた番組の再放送を見た。ヒグマがたくさん出てきた。極寒の地で痩せた土地を切り開き、生き続けてきた開拓農家の人々も。そろそろ、読むべきか。と思って、おもむろに読み始めた。

30分後。胃の底のあたりが痺れてくるような恐怖を感じた。日本海側の手塩山麓、真冬の夜。極寒の闇の中から、巨大な獣が襲ってくる……

 

十数年前の夏、1人で北海道をバイクで旅行していたとき、色丹半島の寂れたキャンプ場にテントを張った。自分以外には誰もいない。

寂しいけど、気楽だから良いか。と思っていたら、後から地元の人たちのグループがキャンプにやってきた。小さなテントの側でぼんやりしている自分をバーベキューに誘ってくれたのだが、「こんなところに1人で寝とったらクマに食われるぞ」と、呆れ顔で言われた。

それから何年も経ってから、上野動物園で本物のヒグマを見た。予想以上の巨大さに戦慄した。確かに死ぬわ。あの旅の前に、この本を読んでおくべきだったな。

 

実際の事件を描いた作品だが、物語として、とても面白く読めた。ヒグマの残忍さに恐れおののく村人たちと、自分の土地を守るために恐怖と立ち向かう区長と、伝説的なヒグマ撃ちでありながら素行不良で村八分にされた老猟師と……実写映画にしたら面白いだろうと、読みながら何度も想像した。

それにしても、ヒグマ猟は1人で行うというのは本当だろうか。現代のヒグマ撃ちはどんな方法を使っているのかと思って検索してみたが、ヒグマ専門の猟師なぞ、もういないようだ。

www.j-cast.com

初弾でヒグマの急所に当てないと、逆襲されて死ぬのがヒグマ猟。しかも当時(大正4

年)の銃は精度が低く、作中の猟師は10メートル以内に近づかないと当たらないと言っている。クマに気配を悟られないように1人で行動し、何日もかけて追い続け、風下から至近距離まで忍び寄って一撃で仕留める。なんというストイックな狩猟。

 

最近、狩猟の本をいくつか読んでいる。魚釣りすらしない自分が実践することはこの先もないだろうけど、ヒトと自然がフィジカルにぶつかる行為は、とても興味深く感じる。


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